全開の復習
前回からはじまった裏入門シリーズ。
始まって早々字数が膨れがあり初回はほとんど表入門と変わらんたぬ。
したがって復習する内容はほとんどないが、裏入門らしい点としては一点だけ、
・Trading ViewのPremiumに課金(正直高い)
これだけです。
【トレード裏入門】第1回 まじなんもわからん入門者も読めます。
それでは今回から、裏入門っぽい、非正統派っぽい内容に入って行きましょい。
今回のテーマは相場に向き合う心構え。
といっても「メンタルをコントロールしよう」とかそういう話ではないです。
環はメンタルが人間未満なので言えることは何もねえ、その辺は前回紹介したベレス&カプラでも読んでくれ!
じゃどんな話かっていうと・・・
相場の動きは上下対称ではない(と思った方がよかろうよ)
表入門(正統派っぽい入門書)ではよく以下のような感じのこと書いてないでしょうか。
「三尊は高安の切り上げに失敗したのちに下落するパターンです。逆三尊はそれをひっくり返した上昇のパターンです。」
「〜のようになったら上昇トレンドの開始を考えます。下落トレンドはその全く逆となります」
「チャートのここでは上昇トレンドの最後の局面でもみ合い、暴落しました。同じように、あっちでは下落トレンドの最後に揉んで上昇ブレイクしています。」
「単純化すれば(そして横ばいを無視すれば)、上がるか下がるかは五分五分です」
・・・だいたいこんなような文言、見たことあるんではなかろーか。
これらは別に必ずしも間違ってはないし嘘でもないと思うたぬ。
・・・最後のやつは確率概念についてちょっとアヤシイですが、まあ細かいことはおいておきましょう
でもこれらのことを文字通りそのまんま受け取らないようにしようというのが裏入門。

これらの話を文字通りに受け取ると、あたかも相場の動きは上下対称かのようたぬ。
でもそう思わない方が良いんじゃねというのが裏入門。
つまり、相場の動きは上下対称ではないと思っておきましょうよ、ということです。
簡単にいえば、価格が上がるときと下がるときの状況は、単に方向を逆にしただけの関係ではないということです。
天井と底、相場は全然違う
まず同じ価格の限界領域、つまり上がるときなら「天井」、下がるときなら「底」ですが、相場のあり方は全然違うたぬ。
・・・このことは普段ならピンとこないかもですが、みなさまの中にはコロナショックの記憶が鮮明な方も少なくないんではないでしょうか。
ここではコロナショック直前期に史上最高値を更新し、そこから一転して大暴落したダウ平均(アメリカの株価指数のひとつ)を見て見ましょう。
下の画像のテッペンが史上最高値圏で、そっからコロナショックで暴落した様子です。
まずじっと見つめて見ましょう。

少なくともこの画像で、二つのことに注目してほしいす。

① 底の方が鋭い
天井付近での値動きは緩やかだったのに対して、底形成、下がって反発するところは非常に鋭い形になっております。
こういう鋭い底を「ポゴスティック」(アメリカ版の竹馬)と呼んでいる人もいるくらい特徴的な形す。
ただし、いつも天井が緩やかで底が鋭い・・・というわけでもないたぬ。
バブルなんかは天井がめっちゃ鋭い。例えばこれはビットコインですが、

天井がめっちゃ鋭く、底(2019年前半の谷)は緩やか。こういうこともある。
こういうこともあるし、銘柄にもよりけりです。たぬ。
② 出来高のあり方が全然違う
ダウのをもう一回貼る。
出来高は価格チャートの足元に生えてる、弁当のバランみたいなやつです。

バラン自体はこういうやつ。見たことはあるでしょうよ。

さて、まず天井付近の出来高は横ばいだったが、下落するにつれ急速に増大していく様子が見えるたぬ。底付近が出来高最大となる。
そして下落後の反発しているところでも出来高は比較的高めの水準。
オレンジの線は出来高の平均線たぬが、天井の頃よりも下落後の方が基本的に高いことがわかろうよ。
もうちょい細かく見ると、「天井では上昇局面で出来高が減り下落局面で増えるのがはっきりみえるが、底ではその辺ビミョー。でも間違いなく下落後の方が出来高が増えている」ということも見えるかも?

他にも天井と底の振る舞いの違いはいろんなもので確認できますが、とりあえずこの2点だけ見てもだいぶ違うことがわかると思うたぬ。
まとめると、同じ価格の限界領域でも・・・
・天井圏では値動きが緩慢で出来高は痩せていく
・底値圏では急激な値動きとともに出来高が増大し、反発中も出来高は大きめ
途中で言ったように、全ての銘柄でいつなんどきもそうだというわけではないです。
が、このような違いがありえそうだということを意識しておきたいところたぬ。
上昇時に「買い方向で出来高が上がってるから上昇トレンドだ」と考えるのと同じようにして、上下逆にして下落時に同じことが言えるとはかぎらんよということです。
チャートパターンも上下ビミョーに違うかもしれない
天井と底の違いと同じように、チャートパターンでも上下では似て非なるかもしれない。
例えばよくある必携チャートパターンはこんな感じだと思われですが・・・
(これは環が表入門用に作ったやつです)

「こういうの覚えたけどそんなに使えてる感がないんすが・・・」と思ってる方もいらっしゃるのではなかろーか。
イマイチ使えない理由はいくつかあるたぬ。
まずこれは時間スケールの詳細が不明だし、先立つトレンドの存在についても何も言ってないし、価格のラインチャートしか載ってない・・・など。
・・・環の不手際でこのような代物になってるんじゃなくて、同様の模式図はいくらでも見かけるはずたぬ。
これらの理由に加えて、こうした図はしばしば、あたかも上下対称であるかのように表現されているということもあるかもしれない。
しかし実際はそうじゃないんじゃね?というのがここで言いたいことでございます。
じゃ実際はどうなのか。
とても有名な三尊と逆三尊を比較して見ましょうよ。
三尊
三尊というのはお山の形した下落兆候のパターン。
上の環制作のやつのこれ。右です。英語ではHead and shouldersといいます。

例えば実際の例だとこんな感じ。

ポイントは左肩が一番出来高大きくて、三尊形成中に減っていき、ブレイクで急増するってことす。
絵にするとこう。

そんなわけで、表入門にほぼ必ず出てくるといってよいこの三尊ちゃんですが、実戦で役立てるには出来高とセットで見る必要がある。
出来高なしの三尊、「消防署の方から来ました」の次くらいに信用できない
— 環 (@tanubitUT) August 20, 2020
ただ、さっきの例は歳末枯れ(ばけ〜しょん期間は取引が減る)もあるだろうなんでそのへんの考慮はしないといけないす。
逆三尊
逆三尊はこれ。英語だとHead and shoulders bottomとかいう。

さて、さっき三尊について見ましたね。
それを踏まえると、もし相場が上下対称なら、「左谷が一番出来高大きくて、逆三尊形成中に減っていき、ブレイクで急増する」・・・みたいになっていてほしいすよね。
・・・ところがそうでもないんだなこれが。出来高を意識して下の例をご覧ください。

大小の解釈ができますが、どっちにしても三尊でみたほどはっきりした出来高推移はには見えませんたぬ。
持ち合いでの減少もそれほど劇的でないし(少し減っていくけど)、何よりもブレイクっぽそうなところでの出来高変化が特にない。
なので、三尊よりもトレンド転換に乗りづらそう。
あるいは同じくダウ先物ミニのリーマンショックからの反発も逆三尊っぽいけども・・・

出来高はこんな感じ。やっぱり上へのブレイク局面で出来高目立ってないたぬ。
同じ画像の、リーマンショック食らう前の天井を三尊として見ることもできて、そっちでは出来高も三尊ぽい感じになってる。

・・・それから、統計的なデータなしで恐縮ですが、そもそも逆三尊は三尊ほど見かけない気がしますたぬ。
この記事のために三尊・逆三尊探したんですが、三尊はすぐ見つかるけども逆三尊はそんなにおらんかった。
このような次第で、チャートパターンも単に上下ひっくり返したように使えるかっていったら、そ〜でもないんじゃね?と環は思う。
少なくとも今見たリーマン前後の三尊と逆三尊では、三尊より逆三尊の方が難易度高そう(=予想しにくそう)に思えましたぬき。

重力 vs 反重力
「株価は特別な理由がないと下がる」みたいに書いてあることはしばしば見かけるたぬ。
確かに、買われてしかるべき理由がなかったら買われないから、結果価格も下がりそうなもんです。
こういうことを指して「価格は重力に従う」みたいな言い方をしてるのも見かけるたぬね。
重力があるかのように、何の抵抗もなかったら決まって落ちていく・・・そんなイメージでしょうよ。
環もそう思ってた。
そう思ってたし、理屈の上ではそういうことになると思うんですが、実際相場やってると本当にそうか?というふうに感じざるをえなかった・・・。
それどころか、むしろ銘柄によっては、特別な理由で売られない限り放っておくと上がり続けるんじゃね?という感じのものさえあるたぬ。
「相場の重力」に対して、これをとりあえず「相場の反重力」と呼んでおきます。
・・・ただこれはマジで銘柄による。
しかし、こういう意味で「相場の反重力」を念頭においておいた方がいいような銘柄を環は毎日見ているたぬ。
そう、米株指数のことです。
下の画像はダウ平均(DJI30)をおよそ100年ぶん表示したものです。
(伸び方がわかりやすいように通常表示でなくて対数で表示しております)

まず100年スパンで見たら、基本的に右肩上がりだということは異論の余地がないと思われます。
それで、ところどころ押し目(トレンドの反対方向に行くこと)作るようにして下げています。
例えば、「1929」あたり大きく下げていきますが、これは世界恐慌。
最近だと、2008年ごろの下げが目立ちますが、これはリーマンショックです。
こんな感じで、節目節目、ヤバイことがおこって下がりますが、逆にいえばそうでもない限りはどんどん勝手に上がっていっているかのように見えるほどではなかろーか。
・・・もちろん資本主義が終焉を迎えた!なんてことになると話は別だけども。
こういうわけでして、モノによっては常識に反して反重力が働いているくらいの気持ちで心構えしといた方がいいかもしれないですたぬ。
こういう気持ちでいたら、「チャートだけ見ていたら五分五分で上がるか下がるかわからんくらいかな」くらいの局面で到底ショート(空売り)を撃つことは躊躇われる。
反重力補正を考えればむしろ上がる方がありえんじゃねーのかという感じになるわけです。
そもそも主観確率五分五分くらいだったら買いも売りも環はやりたくないが・・・
同じように、反重力が働いてそうな銘柄だったら基本的には売りじゃなくて買い方向で考えたいす。だって基本的には上がるんだからよう。
・・・以上、この辺りの話はあまり表入門には書いてないと思われです。
もしかすると環が間違っているから書いてないだけかもなんで、みなさま自分でどうなんか考えてみてくださいな。
次回 銘柄選びにいて
【トレード裏入門】第3回 銘柄選びで既に勝負ははじまっている