前回の復習
・相場は上下非対称(重要!)
・銘柄によっては「相場の重力」は効かないかもしれない。
むしろ反重力が働いているのかもよ
要するに、「上がってるときに買うのと、下がってるときに売るのは、単に方向を逆にしただけではなかろうよ」ということです。
詳しくはこちらご覧あれ。
【トレード裏入門】第2回 相場は基本的に上下非対称
今回はそのことも踏まえて、銘柄を選ぶ段階に入りますたぬ。
銘柄っていうのは、まあトレード対象物のことです。
「〜をトレードしています」の「〜」のことす。
一応言っておきますと、ここでは基本的にCFD・先物の銘柄を念頭においております。
CFDとはFXの上位概念だと思ってよかろうよ。要するに差金決済のやつです。
CFDのうち為替に関するものがFXと呼ばれる。なんで、FXも含みます。
そんな大した注意ではないですが、投資対象物を無制限に想定するなら不動産とかも入るので、さすがにそういうのは度外視しますというそれくらいのことです。
「まずは身近な銘柄から」・・・などということはなかろうよ
よく入門書とか読んでると、「まずは好きな企業の株価からチェックしてみましょう」とか、為替(FX)だったら「円建て通貨(クロス円)は馴染みがあると思います」みたいなことが書いてあろうよ。
そうかもしれん。
そうかもしれないが、何のために投資なり投機なりをするのか思い出されたいたぬ。
ここでは、投資(investment)ってのは長期的なやつ、投機(speculation)ってのは短期的なやつくらいのイメージで良いす。
微妙に考え方自体が違うんですが、まあ言葉の問題なんで気にせんでよかろうよ。
で、なんでそういうことするのか。んなもん決まってるわな。
基本は金を稼ぐためよ。
もちろん好きな企業を支援したいからとか、そういう理由で株買う人がいてもおかしくはないですが、このブログの読者のみなさまは大体のところ、とにかく金が欲しいということに尽きるんではなかろーか。強欲!
なので、馴染みがあるとか、それが好きかどうかとか、そんなもんはそんなに本質的ではないすよね。(別に入門書も本質だと言ってはないと思うけども)
むしろ、下手に分かった気になったり、変に感情移入しちゃう方がまずいんじゃねまである。
何より、自分からハードル上げに言っちゃうのはもったいなかろうよ。
「え〜海外の株価?指数??とかいわれてもわかんな〜い」「パラジウムがバブル?パラジウムなんて聞いたことないっすよ」みたいな感じでスルーしちまうんか?
というわけで、まず、身近じゃなさそうなやつと身近そうなやつと、ふたつずつちらっとみておきましょうか。
身近ではなさそうだが・・・なやつ
例1) ダウ工業株30種平均 (DJI30)

例2) パラジウム

ご覧の通り、両者とも基本的に画面上右肩上がりたぬね。
特に例1のダウについては、画面下をご覧の通り100年以上もの間基本的に上がり続けているたぬ。
仮に今ダウもパラジウムも聞いたことがないとしても、少なくともチャートの範囲だけ見たら、何となくの価格の方向性がありそうな何かしらではありそうな気がしなくもなかろう今日この頃ではなかろーか。

身近ではあるが・・・なやつ
これに対して、身近だけどもよくわからねーぞという例もあろうよ。
例1) 日経平均株価225種

これもダウと同様にログスケールで出したものですが、方向感は何とも言えねえ〜という感じではなかろーか。
例2) ドル円(USDJPY)

どういう理由かいまいちよくわからんが、よく初心者にオススメな為替銘柄として名前の出てくるドル円(USDJPY)です。
画面上の方向性はさっぱりわからん。
以上ふたつは、日本に関するもので、ニュースでもよく聞くと思いますたぬ。ある意味でみんな馴染みがあるわけよ。
でも、画面範囲のチャートだけ見て方向性がわかりやすいか=トレードしやすそうか、といったら、そうでもねーんじゃなかろーか。
・・・こんな感じで、「何となく聞いたことがあるかないか」みたいなのはあんまし銘柄選びの理由に役立たないんじゃないかと思われです。
このあともう少し話しますが、ドル円なんかは馴染みはあっても、むしろ初心者には難しいかもしれないたぬ。
銘柄選びでとりあえず見るところ
以下はあくまで裏入門的な観点からのポイントいくつかです。
これらは十分条件でもなければ必要条件でもないたぬ。
人それぞれ得意不得意あろうよ。
環はとりあえずこの辺をみているよ、くらいに受け取ってくださいな。

① 長期トレンドの存在 (≒方向性がつかみやすいか)
トレンドっていうのは、雑にいえば方向性のことです。
上がる方向性は上昇トレンド、下がる方向性は下降トレンド。
そしてどっちでもないのをレンジ(横ばい)と申します。
・・・実際のところ、「一見上がり続けてるように見えるがそれは本当にトレンドなのか」というようなことの判断をどうやって行うかが問題になるたぬ。「雑にいえば」ってのはそういうこと。
なので、トレンドの有無はそんなに自明でもないんですが、長期的にみてさすがに上昇してると言っていいんじゃね?という単純な例で考えてください。
+「相場の反重力」があるとなおよし
前回お話ししたように、単なる長期トレンドというよりももっと強そうな、ほとんど「相場の反重力」が働いているように見えるくらいの右肩上がり銘柄も探せばあるたぬ。
どんな感じか。
例えばさっきみたダウをもう一回見ましょう。

およそ1932年ごろからこんな感じで上昇トレンドにあるとみれんじゃね。

黄色と水色、二種類のトレンドライン(トレンドを示す線)が引けると思いますが、どちらにせよとりあえず上昇トレンドが長いことあるといってさし支えなかろうよ。
さてこういうふうに、上昇トレンドが長期的に存在すると何がハッピーなのか。
それは要するに、「基本的に価格は上がる方向であり続けている」というふうに考えることができるってことたぬ。要は方向性がつかみやすいわけたぬね。
特に今見たダウは見ようによっては90年くらい上昇トレンドにあるといえるたぬね。
こういう非常に強力な上昇傾向を、前回「相場の反重力」と呼びましたぬき。
・・・これに比べて、さっきみた日経やドル円はどうだったかな?
各自でご覧くださいな。
② 出来高が十分に大きいか
すげー雑にいえば、「誰もあまり取引してないような銘柄は難易度が高くなる」、って感じで考えて良いと思いますたぬ。
そういう出来高が小さい銘柄だとテクニカル分析(チャート分析)が効きにくい。
出来高が小さいことを「薄商い」とかいったりします。薄商いだと、ちょっとの取引量で値幅がめっちゃ動くんすよね。
・・・イメージがつかなんですか?
株の現物考えて見ましょうよ。
株やってる方ならわかると思いますが、そもそも出来高がほとんどなくてローソク足が更新されていないような銘柄もありますよね。
例えばこちら。JASDAQグロースの月次(2020年8月)出来高最下位のとある会社の株。



・・・2020年8月の出来高なんと400。
価格チャート見て空白になって飛び飛びになってるところはその日値動きがなかったということです。
こうなると、テクニカルの技術とかそういう問題じゃないんじゃねとなる。
てかローソク足もないならそもそもどこに線を引いたらいいかさえよくわからん。
・・・今のはこれはかなり極端な例ですが、出来高が少ないっていうのは要するにこういうことに近づいていくよということです。
初心者は薄商いは避けるのがベターでしょうよ。
③ ボラティリティは十分にあるか
ボラティリティ(よくボラと略される)は雑にいえば価格変動の度合いのことす。
厳密には算出方法とか色々とあるんですが、雑にいえば「ボラティリティがある(高い)」っていったら「値動きが活発」くらいの気持ちでよかろうよ。
で、トレーダー的にはボラないと困る。なんで?
まず原理的にいって、値動きがゼロだったら1円も儲からんたぬね。
そんで、スプレッド(後述)や手数料を払ってるなら、トータルでマイナスになるたぬ。
特に短期トレードをしたいのなら、ボラがないと本当にどうにもならんたぬ。ろくに動かない銘柄いじってもスプレッドや手数料払わされるばかりになろうよ。
ボラがない例 最近の原油(WTI)

原油や天然ガスは基本的にはボラの激しい銘柄なんですが、歴史に残るヤバい大暴落のあとは、魂が抜けたみたいにボラがなくなって横ばいになっておりましたぬき。最近は再び動きつつあるけども。
参考: WTI歴史的大暴落
逆にいうと、原油だろうとなんだろうと、動かない(ボラがない)銘柄に用はね〜んすよね。値幅抜けなかったら1円にもならんので。
④ スプレッドはどうよ?
スプレッドというのは売値と買値の差額のことです。
例えばこちら、この記事書いたときにスクショとったiFOREXです。日経を見てみましょう。

このように、この瞬間売値は23155.6円だけど買値は23169.5円。
およそ13円のスプレッドがあるたぬね。
つまり、この瞬間に買って即座に売ったら、1株あたり13円の損失になるわけです。
100株なら1300円。1000株なら13000円。
MT4(トレードツール)とかで売買した瞬間って基本的に赤字でマイナスいくらって出てると思いますが、それがスプレッドを払ってるということです。
従って、トレードで利益を出すには最低限スプレッド分は取れないと常に赤字になるわけです。
長い時間かけて大きな値幅を取りに行くときはそこまで気にならなんでしょうが、短期であればあるほど、小さい値幅狙いになるのでスプレッドは重要になるとみて良いでしょうよ。
特にスキャルピングといって、短いときは数秒しか持たないような戦略でトレードしたいならスプレッドの広さは致命的になるかもしれないわけです。
そんな短い間にスプレッド分以上の値幅を勝てないといけないので。
・・・そしてこれが肝心なんすが、スプレッドはどれもこれも一緒というわけではないのです。たぬみがあるな。
(1) 銘柄によって広い狭いの傾向がある
例えばドル円とか日経とか、日本がらみのやつは広い傾向がないこともなかろーよ。
足元見やがって!
それからマイナー銘柄(為替だとエキゾチック通貨とか表記されてたりする)とかも広い傾向なきにしも何とやらでしょうよ。
マイナー銘柄はさっき見たような出来高上でのデメリットも伴いがちなんで、やはり初心者にはお勧めできんでしょうよ。
(2) ブローカー(取引所)によってマチマチ
それに加えて、どこでやるか=どのブローカー(取引所)を使うかによっても結構変わるたぬ。
スプレッドは狭い代わりに手数料で回収してくるとか、成行だすとめっちゃ滑るとか色々ございます可能性ありなのでスプレッドが狭ければいいというわけでもないことは注意です。
(3) 時期や一日のうちのタイミングによってもマチマチ
スプレッドが固定のところもありますが、多くのブローカーではタイミングによってマチマチです。
例えば変動制の場合、急な値動きがあったときや、NY立会時間終了後(日本時間早朝)とかは急拡大することが多いです。
また、「最近このブローカーよりあのブローカーの方がスプレッド狭くね」というようなこともあるたぬ。
・・・というわけで、環は現在、3つのブローカーで口座を持っております。
これらのうち、今年、というかコロナショック以降一番スプレッド的に使いやすいのはAxioryという印象で、現在はメインとして使っていますたぬ。去年はメインiFOREXだった。
+⑤ そいつはいま燃えてるか
これは入門段階では少し取り扱い難しいので、わからなかったらナシでいいと思いますが、その銘柄がいまアツいかどうかというのも考慮するとよかろうよ。
そのアツさは出来高の増加の仕方だったり、モメンタム(一定期間中の価格の上がり・下がり方を示すもの)だったり、はたまたセンチメント指数(弱気・強気)だったりと、色々な捉え方があると思われですが、この3つの話だけでもめちゃくちゃ長くなるので今回は省略しますたぬ。
とりあえず、たぶん史上最高値更新とか、下落率最大とか、価格がマイナスになったとか、そういう話が出たら、上に挙げたような指標のどれかしらは強く反応しているでしょうよ。
そういうあからさまに派手な動きに立ち向かって失敗すると一瞬で破産するので入門者に推奨し難いですが、うまいこと乗れると一瞬でめっちゃ儲かるたぬ。
逆にいえば、こういう加熱してる銘柄だとわかったら遠巻きに見ている方が安全なので、見送るにしてもやはり何がアツいかは意識したいところです。
余談のよっちゃん。環が為替苦手な理由
ブログの各種「記録」をご覧いただければおわかりと思われですが、環は為替(FX)をあまりやりません。
それはいま見てきた「銘柄選び」の観点とも関係ありますたぬ。
① 上限も下限もありそう
例えば株は原理的には上限なしたぬよね。潰れて紙くずになったら価値は無くなるんで下限もあるにはあるが半端ね〜わけよ。
ところが為替っていうのは、一方の国と他方の国との通貨をやりとりするものたぬ
(ユーロは厳密には国ではないが言いたいことは伝わろうよ)
例えばドル円(USDJPY)を買う(ロングする)っていうなら、それは円でドルを買ってるってことです。
株が10倍になるのはそんなに珍しいことではないですけども、例えばドル円が10倍になったらそれどういうことよ?
それはドルがめっちゃ価値あがってるか、あるいは円の価値がめっちゃ落ちたか、その両方か・・・というわけたぬ。
いずれにせよ、こんなことになると債券とか貿易とか相当ヤベーことになっちゃうわけですよ。国が傾くわな。
そんなわけで、国が金融政策とかやって介入をやるというのが基本となろうよ。
トルコリラとか、そういう通貨だと別なんですが、先進国の通貨ペアは、だから上限下限があるでしょうよと。その価格がどこかは国の偉い人たち次第ですが。
そんなわけでして、価格に上限下限があるってことは、多分原理的に相場の反重力は存在しないでしょうよと。
② とにかく政策次第
今もちょろっといったけども、重要な値動きは基本的に政策次第となろうよ。
金利、内政、外交、貿易、立法、さらには戦争・・・
こういうことを理解して、しかもそれらと通貨の動きの相関を適切に考えることができんのかいなということになろうよ。
・・・ぶっちゃけ厳しい!
少なくとも入門者の手に負えることではなかろうよ。
まあFXの初心者なだけで、日銀の総合職をやっていた人だったり、大学院卒の元官僚とかでしたら別でしょうけども、これらのことはそう簡単じゃないすよね。
もちろん、これらぬきにしてテクニカルだけで勝ってる人もいると思いますたぬ。
実際環もテクニカル的な観点だけでFXをやることもありますたぬ。ブログにも記録あろうよ。
でも、まあ以上のようなことが懸念されるので、メインでやる気にはあまりなれない次第です。
入門向きではなさげな銘柄3選
① ドル円
ドル円は入門向けっぽい感じとしてよく出てくると思いますが、環には全然入門者に手軽にできそうなものに見えんす。
まず為替に共通ですが、基本的におかみ次第(中央銀行を含む)な側面が強いこと。
そしてボラがないので短期トレードできるタイミングが限られるたぬ。
長期トレンドもあるっちゃあるかもしれんし、ないっちゃないかもしれんしでようわからん。

まあでもドル円にも使い道はあって、環は愛用しています。
ただ、初心者向けではないと思います。
② 低位株
「10万円以下で買える!初心者でもチャレンジしやすい株」
みたいなやつ、よく見ると思いますたぬ。
日本では多くのところで100株1単位で売買するので、1株1000円以下がそういうものにあたるたぬ。
だがこれも実は初心者には難易度高いと思うたぬ。
まずそういう低位株は出来高が少なく、ものによっては板(買い・売りの注文状況)もかなりスカスカだったりするたぬ。
こういうのはそもそも約定(取引成立)しにくいし、また、ふとした拍子に変な値動きをしやすい状態たぬ。
確かに、長期的に保有していたら、そういう低位株がめっちゃ化けることはあろうよ。
環も、トレードはじめたころはこういうのをやっていたぬき。
四季報とか短信とかよくわからないなりに頑張って読みまくって、1000円以下で割安なものを探していたぬきです。
確かに、めっちゃ化けたことに立ち会ったこともあるたぬ。
でもよ〜。
クジ引きやるには高いし資金効率も悪いと思うたぬ・・・。
10万円あったらもっといろんなことできるたぬ。
そして、
「いや投資は往々にして時間がかかるものだ!投資は投機とは違うんや!あのバフェットだってなあ・・・」
とかもっともらしい呪文で自分を納得させている間に価格が半分になっていたりということも全然あろうよ。・・・環はやられたことあるぜ?あん?
第一バフェットみたいな資金もないし、そもそもバフェットはそんなよくわからん低位株なんて買わねえでしょうよ。
それに、この手の銘柄は一過性の吹き上がりで終わることもよくあることたぬ。
仮に安い値段で仕入れられても、初心者が天井を見極めて売り抜けられるか?っていうと、ま〜難しいんじゃね。
・・・その天井崩れたらアメーバみたいに価格が半分ずつになって行くかもしれないんだぜ?バブル崩壊をうまく逃げられるのかって話ですよ。
じゃなんで人はこういうのに手を出すか。
「それは楽してテキトーにめっちゃ儲かるかも」という射幸心そのものなんじゃなかろーか。
・・・そういうすけべな射幸心を捨てるところからトレードに入門するとよかろうよ。

・・・大体、「注目低位株!」なんていうのは、現にみんなに注目されているというより、往往にしてだれかが注目させようとしていr・・・うっ!急に頭痛が・・・
③ 草コイン
草コインは、とりあえずマイナーな激安の暗号通貨のことと思ってよかろうよ。
語源はshit coin。つまり直訳すれば「クソコイン」。
だから、マイナーな激安コインのことっていったけども、基本的には名前の通りクソなコインのことです。
クソなコインだが、たまに暴騰するやつがあるので、一気に資産が巨大に増えるよというのが魅力、もとい、夢です。
そして大体は夢で終わる。
ここに書いた銘柄選び的な特徴としては、②と被るところが多いたぬ。
ただクソコインの場合、本当にクソすぎるものもあるし、ほとんど詐欺(スキャム)まがい、いや単に詐欺そのものだったりするものもあろうよ。
最近でこそ日本でも金商法改正とかありましたが、法的に整備されてなかったりグレーな領域が多いジャンルだと何かとスゲーこともあろうよ。全部が全部ではなしにも。
・・・当然ながらビギナー向けではなかろうよ。
「インフルエンサーオススメの草コイン!」とか、う、急に腹が
次回 スキャルピング・デイトレ・スイングについて
【トレード裏入門】第4回 スキャルピング・デイトレ・スイング